バス住み分けモデル事業案について

 

 

          第5回外来魚対策懇談会報告より

   「関係者の取組に関するモデル的事業」の素案に対する主な意見

 

1 事業の方向性に関する意見

 

・問題の解決には、立場の異なる人たちの意見にも広く見聞を求める姿勢が大事。

・関係者間で価値観が異なっているという現実問題があり、相互に歩み寄れる点がなければ解決できない。

・関係者の取組として対応可能かつ現実的な方法を採用すべき。

 

・対応の第1段階として、バスの命の問題(キャッチ・アンド・リリース(CR))と生態系保全の関係について広く理解を得るための取組を行うとの位置づけで試験的実施をすべき。

・「駆除」ができないという前提ではなく、「減らそうとする方向性」の下に進むべきであり、釣り人の協力と市民参加によって「駆除」を推進するためのモデル事業とすべき。

・試験実施によって外来魚対策の問題点やその原因を明確にしていくべき。

 

・昭和20年代にもバス以外の外来魚問題があり、また、最近バス以外の外来魚による影響も懸念されている状況にある。これらのことも念頭に置いて検討を進めるべき。

 

 

2 モデル事業におけるバスの利用の是非に関する意見

 

・収容水域で流出等があった場合の対応等、管理責任はどこにあるべきか。

・試験実施とはいえ、採捕したバスを「収容」するという方向については問題があり、「駆除」に重点をおくべき。

・「利用」の是認につながる提案には反対。あくまでブラックバス等外来魚「駆除」していくとの立場を明確にした上で素案を検討すべき。

 

・釣り人の協力をどのように得るかという方策がなければ解決しない。

・バスが全国的に拡大していること、バス釣り人はCRを行っていることの現実を踏まえれば、排除すべき水域を特定し、許容できる水域に収容・活用することはやむを得ないのではないか。

・「利用」するというよりは、試験的に排除水域と収容水域とに分けて、これまで議論された問題点の所在を3年かけて検証していくという考えで対応すべき。

・事業の目的を「排除」のための試みであるとするならば、守るべき魚がいる排除水域では協力を得ることは可能ではないか。

 

「利用」に密接な関係にあるCRへの対応に関する意見

 

・「CRが釣り行為である」という教育を受けた子供達にとっては、目の前で魚を殺すということには踏み切れないという状況にあることを踏まえるべき。

・バス問題は、バス釣りの若い人たちとの断絶があることが一番問題。CRにもある程度理解を示しながら、自然のあるべき姿というものを相互理解しない限り事態は終息しない。そのための対処的な時間と場所が必要であり、試験実施に向けて進むべき。

 

・子供への教育という点では、「駆除」の実施を通じて在来魚の重要性を認識することがむしろ重要。

・生息数を減らすという取組の先にはバスを殺すということがあること、そのような事態になった経緯を地元の人との共同作業を通じて環境教育として説明が必要。

・バスを殺すということに抵抗があるのは理解できるが、これはバスによる影響等に関するPRが不足していることによるもの。

 

 

4 違法放流対策に関する意見

 

・試験実施中に違法放流があったとしても、排除の努力は永久に続けましょうという合意形成はできるのではないか。

・現段階では本素案の方式しかないのではないか。ただし、4湖だけに限定するとかその他の条件について議論を進めていくべきであり、駆除した水域に違法放流があった場合は、事業は直ちに中止して駆除に全力を傾けるべき。

違法放流防止の監視が困難であり、駆除の効果があがらない状況の下で、どのように実効性を確保するのか。

 

 

5 関係者の取り組みに関する事例の紹介意見

 

・インストラクターが協力して、ため池の所有者等に対し、排除協力の要望の有無等について聞き取り調査を実施している。

 

・釣りを禁止している市の所有池において、市民参加型の駆除事業によってブラックバスが見られなくなったという事例がある。

 

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