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「釣りをすればするほど環境がよくなる」システムについて
萱間 修

 自然環境に対して釣り人(=全釣り恊)が果たさなければならない役割とはなんでしょうか?
 全釣り恊の在り方として私は、「釣りをすればするほど環境がよくなる」というようなシステムを作り上げることが今最重要ではないかと考えています。

 環境省に言われるまでもなく、海、川、湖、すべてが昔の豊かな自然の姿を失ってしまっています。これは、影響のある国土開発を止められなかった生態学者のせいだけではなく、市民がそれを許し、または望んできたことですから、自分たち釣り人も
反省しなくてはなりません。

 結果、稚魚や弱い魚が育たない自然環境を作ってしまいました。

 昨日(3/25)の新聞で発表されたことですが、淀川での魚類層調査では10年前に比べてブルーギルやブラックバスの比率が40倍に増えていたそうです。この数字を見せられると、いくらバス釣りが好きな人でもよろしいとは言える状況ではないでしょう。
また、川にまともな魚がいなくなったという問題も、海でも放流に頼らざるをえなくなったという問題も、すべて私たち人間が便利さや経済性を優先させたためにやってしまったことです。

 そして、そのような環境破壊を一番分かっているのは他でもない「釣り人」であると私は思っています。もちろん、ブルーギルやブラックバスの食害についても、どの程度のものであるかということを一番知っているのも釣り人であると思います。

 だから言うのですが、私たち釣り人が「危ない!」と感じたことは、絶対やってはいけない。一般の方よりも多分十年は早く私たちは気がついているはずなのですから、それをいち早く県の水産課や水産庁、あるいは環境省や国土交通省に報告するべきだ
と思います。(全釣り恊の歴史をひもとくと、今まではそういうことを言っても相手にされなかったり、業界との連携がとれなかったりしたという経緯があります。しかしここへきてやっと「環境の時代」となって行政が関心を示してきてくれていますので、ようやく本来の釣り人の役割を担うことができるのではないかと感じています。)

 そんなことで、まずは手始めに、釣り人全員で「自然環境のチェック機能の役割を果たす」というのはどうでしょうか。

 アジの回遊がおかしい… こんなカニは今までいなかった… 川の魚が大量に死んでいる… 水辺の植物が育たなくなった… そのような報告を釣り人の組織が集めることができれば、「釣りをすればするほど環境がよくなる」システムの第一歩が作れるのではないかと考えています。また、これこそ釣り人でなければできない社会貢献だと思うのです。

 私たちが、魚という命と遊ばせてもらったことへの感謝、恵みとしておいしくいただいたことへの感謝を表すことは、とっても自然な行為です。でも、今までなかなかそれができなかった… それはなぜなのか? もう少し考えてみなければなりませんが。

 皆さんのご意見もぜひお聞きかせください。


                                      (2005.3.26)


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